兵庫県丹波篠山市大山地区の住民らでつくる「大山昔ばなしの会」(小林康利会長、13人)が、同地区内に点在する江戸時代に造られた石像群や道標を紹介したポスターを制作した。33カ所の石灯篭や地蔵、供養塔などを写真と共に解説している。メンバーは「これらが建立された当時に思いを馳せながら楽しく編集作業ができた。ポスターが完成したばかりの今はまだ、皆さんの関心は薄いかもしれないが、この先20年、30年と時代を重ねていくごとに貴重な資料となっていくことを願います」と話している。
「大山地区石像群と道標案内」と題したポスターで、サイズは縦約60センチ、横約42センチ。同地区の地図を描いたイラストの上に、石像や道標が立つ位置を示している。
同会のメンバーで、地域の石造物を調べている橋本宗一さん(89)が、「地域の歴史を次代につないでいかなくては」と提案。1999年に旧西紀、丹南町教育委員会が刊行した「丹南町の石造物」にリストアップされている江戸時代に造られた石造物の中から33カ所を選び、1年間かけてメンバーで現場をめぐり、調査してまとめた。
同地区追入集落の大乗寺参道入り口から山門までの中間地点にまつられている「千日さん祠」の紹介では、「天明8年(1788)に建立。大乗寺中興の祖、快祐上人が、千日間の護摩供養の後、生身のまま入定(即身成仏)されたので、『千日様』として崇められている」などと説明している。
石住集落の松尾神社境内に立つ石灯篭の紹介では、「建立は明和3年(1766)。同神社は酒造りの神様としても有名」などと記している。
メンバーたちは完成したポスターを前に、「普段、何気なく見ていた石造物にこんな意味があったなんて。地域の歴史の奥深さを再認識した」「歴史は過去の出来事の記録だが、未来につながる出来事でもある。歴史を探る取り組みを通じて、自分の人生の歩みと重ね合わせたり、これからの生き方を考えたりできた」などと編集作業を振り返っていた。