さて、問題です。昭和最後の日の昭和64年1月7日に信用金庫へ定期預金した「1万円」。令和元年5月7日の解約時に受け取った額は、利息を含めていくらになったでしょう? このユニークなクイズ、兵庫県丹波市の農業・小西敏晴さん(82)が実際に預金しており、改元後の解約を前に、所属する古文書研究サークルの仲間たちに出題していたもので、このほど答えを発表した。正解は、「1万3537円」。最初3・14%だった年利が直近では0・01%と300分の1以下。仲間内の”遊び”だが、預金金利が下がった平成という時代を浮き彫りにしている。
直近3年間は11円「金利急降下を実感」
小西さんは、昭和の終わりと平成の始まりを記念し、信用金庫に1万円(3年定期複利)を預金。満期を迎えるたびに継続し、30年を迎えた。4月30日の退位で平成が幕を下ろすのに合わせて定期預金の解約を思い立ち、解約時に受け取る金額をクイズとして年明けに出題していた。
的中者はなく、最も近い「1万2899円」と予想した森田尚典さん(82)=同県丹波篠山市=を表彰。森田さんは信用金庫に利率を問い合わせたほか、独自の推計を加えた綿密な計算書を添え、回答提出締め切り日の2月28日に応募した。
小西さんによると、平成7年の更新までは利率が年2%を超えていたが、今年は0・01%。30年5カ月の利息額は3537円で、1年約116円、年間利回り約1・16%だった。
小西さんは「年利が2、3%台だった最初の9年間では利息が3215円あった。その後は雀の涙。直近の3年間は11円だった」と説明した。
的中とはいかなかったものの、近い数字を弾いた森田さんは、「難しいことはない。計算機でちゃちゃっと計算した」と言い、「昔は『1億円あれば利息で暮らせる』と言っていたが、今の超低金利では到底無理やなあ」と微々たる利息に苦笑いを浮かべた。
令和への改元を記念し、同様に1万円貯金をしたという小西さん。「次の元号に変わる時には利息がいくらになっているか。私は生きていないだろうから、息子に確認するように言い残しておかないと」と笑っていた。