兵庫県丹波篠山市後川上の春日神社の参道で、サトイモ科の多年草「ムロウテンナンショウ」が咲き誇っている。鎌首をもたげたヘビを思わせる形の仏炎苞(ぶつえんほう)と、そのライムグリーンの鮮やかな色合いが、スギ、ヒノキが林立する薄暗い鎮守の森で異彩を放っている。
仏炎苞は、花軸に密集した小さな花「肉穂花序」を囲むように大きく発達した苞のこと。仏像の背後に見られる炎のような飾りに由来する。
姿はマムシグサに似ているが、仏炎苞の内面に微小な乳頭状突起を密生させていることから区別できる。
テンナンショウの仲間は性転換する植物として知られ、栄養の蓄えが少なく球茎が小さいうちは雄株で、栄養の蓄えが十分となり球茎が肥大すると雌株となって果実をつくる。繁殖に栄養を使い、球茎が小さくなると、再び雄株になる。
名前は室生寺がある奈良県宇陀(うだ)市室生(むろう)にちなむ。