唱歌「旅愁」の碑が完成 犬童球渓が作詞

2019.05.06
ニュース丹波市地域

完成した旅愁碑の前で200人が大合唱=2019年5月1日、兵庫県丹波市柏原町で

旧制柏原中学の音楽教師だった犬童球渓が作詞した唱歌を記念する「旅愁の碑」がたんば黎明館(柏原町柏原)前の道路向かいに完成。1日、落成式が行われ、募金の呼びかけに応じた人達ら約200人が祝った。

旅愁の歌詞が主碑に、球渓の紹介や詩を作った経過などの説明と、寄付者541人の名前が2つの副碑に刻まれ(一部は秘匿)、音響装置のスイッチを押すと、「日本の童謡唱歌をひろめる会」の丹波市内のグループが歌う合唱が流れる仕組みになっている。

建立委員会の進藤凱紀会長が「球渓の話を柏原高校時代に初めて聞いて、素敵な人だと思った。長年の夢がようやく実現し、旅愁につながる人と人との絆を深く感じた」とあいさつ。ハーモニカの演奏で市内の小学生たちが除幕。杉本一心君(青垣小)がスイッチを押すと曲が流れ、参加者全員で合唱した。

犬童球渓は明治38年(1905年)に県下初の音楽教師として柏原中に赴任したが、日露戦争下、”蛮カラ”な気風の生徒らに受け入れられず、失意のうちに新潟の女学校に転任。同地で米国の音楽家、オードウェイの原曲に乗せて旅愁を作詞、たちまち全国に広まった。詞には、ふる里の熊本県人吉市を思い起こさせる柏原の風景が織り込まれていると言われる。

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