ウシガエル、駆除して堆肥に 女子高生2人が奮闘 特定外来生物の有効活用目指す

2019.06.23
ニュース丹波篠山市地域

お目当てのウシガエルをようやく捕獲することができ、ほほ笑む山上さん=2019年6月5日午後2時6分、兵庫県丹波篠山市東新町で

兵庫県丹波篠山市の篠山東雲高校3年生の山上琴音さんと2年生の林彩加さんは、課題研究で特定外来生物のウシガエルの駆除を進めつつ、その死骸を堆肥化する実験に取り組んでいる。ウシガエルが数多く生息し、近隣住民からも「鳴き声がうるさくて眠れない」との苦情が出ている同市にある国史跡・篠山城跡の堀を捕獲地に選定。このほど、外来生物対策に取り組んでいる丹波篠山市役所職員と共に、事前に仕掛けた5つの「もんどり網」を引きあげた。

炎天下、「ブオーイ、ブオーイ」と唸り声のようなウシガエルの鳴き声がこだまする堀で、額に汗をにじませながら捕獲作業に励んだ2人。「私、小さいころから触ってたので、平気なんです」と、もんどりに入ったさまざまな生きものをためらいなく素手で取り出す山上さん。体長15センチを超えるウシガエルもわしづかみにしてみせた。一方の林さんは「ちょっと苦手。書記係に徹します」と、一歩下がって捕獲した生きものの種類や数、大きさなどをノートに記録した。

しかし、網の中に入っていたのは、アメリカザリガニやブルーギルばかり。ターゲットのウシガエルはわずかに1匹という不発に終わった。2人は、「堆肥化実験にはたくさんのウシガエルが必要。地域の方の苦情解決にもつながらなかったので、作戦を練り直し、出直します」と再起を誓った。

「もんどり網」を引きあげる生徒ら

市内東部の同じ集落に暮らす2人。2年前、同集落のため池で、水抜きして日干しする「掻い掘り」が行われた際、数えきれないほど大量のウシガエルのオタマジャクシがとれたのを目の当たりにした。山上さんは、「自然豊かなふる里のため池だと思っていたのに、外来生物だらけだった」とショックを受けた。

昨年度、2人の先輩たちが、外来生物問題に取り組もうと、市や大学、市民、有識者らで組織する「農都ささやま外来生物対策協議会」と連携し、市内で大繁殖している外来生物「ミシシッピアカミミガメ」の駆除を行った。駆除した外来生物の命を無駄にせず有効活用しようと堆肥化に取り組み、カメ堆肥で黒大豆を栽培。これまでにないほど高品質の出来だった。

この好結果を受け、今年度も「外来生物を活用した堆肥化第2弾」の取り組みを考えたとき、掻い掘りでの光景を思い出し、ウシガエルに白羽の矢を立てた。

ウシガエルの死骸をEM菌を培養した米ぬかと混ぜ、コンポストで堆肥化するという。

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