18日午前7時ごろ、兵庫県丹波市青垣町の民家の敷地内で、「子熊が死んでいる」と丹波署に通報があった。近くの畑には、子熊の死体が見つかった民家方向へ続く、成獣とみられる熊の足跡が点々と残っており、同署は親熊が近くにいるかもしれないことを住民に周知し、パトカーで巡回するなど警戒している。
民家で暮らす男性が、軒先に横たわる黒い物体を見つけた。「一目で熊とわかった。『何でこんなところに』とびっくりした。棒でつついたが動かなかった」。
体長30センチほどのツキノワグマのメスで、げっそりとやせていた。死体を処分した狩猟歴50年の山澤孝良さん(75)=同町=によると、死体の状況から17日の夜に死んだと見ており、「解剖はしていないが、外傷がないので、病死ではないか」と言い、迷い込んだ敷地内で息絶えたとみている。
幅17センチほどある熊の足跡が見つかった畑は、民家の南東50メートルほど。近隣住民たちは、「シカやテンら野生動物の通り道になっているが、熊まで行き来しているなんて」と驚いていた。
警察、丹波市、地元猟友会が駆けつけ、小熊を回収するとともに周辺の山を調べたが親熊の姿は確認できなかった。
県森林動物研究センター(同町沢野)によると、熊の出産時期は冬眠から覚める春先で、小熊も今年生まれた生後数か月の個体と見られる。
1歳半ぐらいで別れるまで母熊と子熊が対になっていることが多いので、「親熊に気をつける方がいい」と言う。今の時期は、山にある軟らかい草や昆虫などを食べて暮らしているという。