“誘惑”退ける「自習カフェ」 地域おこし協力隊員が開設

2019.06.27
ニュース丹波篠山市地域

自習専用の「ささやま寺子屋カフェ」を開いている瀬戸さんと児島さん=兵庫県丹波篠山市で

兵庫県丹波篠山市日置にある地域の活動拠点施設「日置ふるさとステーション」で週3回、小学生から大学生までが使える自習専用の「ささやま寺子屋カフェ」が開かれている。テレビやスマホ、ゲームなど”誘惑”の多い自宅では集中して勉強できないという学生のためのカフェ。同カフェまでが遠いという学生のために、スマホを使ってテレビ会議のようにオンラインで分からない点を質問できるシステムも用意している。

運営しているのは、いずれも神戸大学出身で、元市地域おこし協力隊員の瀬戸大喜さん(27)、現協力隊員で日置地区担当の児島佳史さん(28)、池篤志さん(24)の3人。

瀬戸さんは現役隊員時代に過疎化が進む同市内の大芋地区を担当。学生の保護者から声がかかったのをきっかけに、「市中心部との学習機会の格差」という地域課題を解決しようと、2015年から学習塾「ささやま寺子屋塾」を大芋、福住、大山の各地区で開いている。

この活動に児島さん、池さんが共感。都市部で暮らしていた3人はともに自身の受験生時代を振り返ると、自宅では集中できず、図書館や公共施設、喫茶店やファストフード店などに友だちと立ち寄って勉強していた共通の思い出がある。

しかし、日置を含む東部地域には、塾や、学校帰りに立ち寄れる場が少ないため、学生たちの居場所をつくろうと考えた。

それでも日置までは遠いという学生のためにはスマホを活用。自習専用カフェを開いている時間帯は、登録した学生とオンラインで結び、テレビ会議の要領でカフェ側からも、自宅の机に向かう学生からも双方の様子が見られるようにスクリーンで映し出す。空間を共有しながら、オンライン上で質問することができるほか、家にいながらも適度な監視と緊張感が生まれ、オンライン中はスマホで遊べないというメリットもある。

自宅がカフェの近くにある高校1年生の女子生徒は、「家は誘惑が多くて集中できない。図書館や市民センターも遠い。ここなら自分で来られるので、よく使うと思う」と話していた。

瀬戸さんは、「ここに来た時は、『数学を何問解く』といった目標を書き出し、何のために勉強しているのかを意識するよう心がけている」と言い、その日の目標をホワイトボードに書き出すなどの工夫をしている。同じ場所で昼間は地域の人たちが集えるカフェの開設を計画している児島さんは、「多世代が交流できる場になれば」と話している。

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