料理は化学実験のよう
男性料理教室「うまい会 男の腕まくり」の代表を務める。男性の自立や自活、料理を通じて交流を深めていくことを目的に、4人の仲間と立ち上げ11年目。現在60―80歳代の会員23人が、毎月第3木曜日に四季の森生涯学習センターに集まり、女性顔負けの手際の良さで調理に励み、野太い声を響かせている。「会員の皆さんがそれぞれに役割を果たしてくれるので、『代表だから』という負担はない。毎回にぎやかにやっていますよ」とほほ笑む。
元大手ガラスメーカーのサラリーマン。58歳の時、膀胱にがんが見つかり、治療に専念するため早期退職を選んだ。療養生活を始めたものの、「病気のことが気になって、何もする気が起こらず、近所をぶらぶらする毎日でした」。しかし、ある時期から仕事で忙しい娘の子どもを預かることとなり、昼食を作らないといけない状況になった。「孫に少しでもうまいものを食わせてやりたい」と当時、篠山市立中央公民館が主催していた料理教室に飛び込んだ。66歳の時だった。「もともと技術屋だったこともあり、料理が化学実験のように思えて楽しくなってきた。調理師になっておけばよかったとさえ思えるほど、はまりましたね」と笑う。今では毎日の朝食と夕食を担当しているという。「買い物の際には、少しでも安く買おうとチラシに目を通し、冷蔵庫の残り物で何が作れるかを考えるなど、もうすっかり『主夫』ですよ」。
がんの再発は見られない。料理教室のほかにも、23年前から続けている社交ダンスや、中央図書館パソコンコーナーのサポートスタッフと、アクティブな日々を送っている。79歳。