古民家の再生・活用に取り組む兵庫県丹波篠山市のNPO法人「町なみ屋なみ研究所」が、同市西町で運営している「西町ブリキ玩具製作所」をリニューアルし、地ビールが味わえる酒場「西町BUR(ブル)」として開店させた。酒の肴は多彩にラインナップしている缶詰のほか、日替わり店長によるオリジナル料理。ブリキのおもちゃが飾られ、大型プレス機が数台鎮座する昭和レトロの雰囲気漂う店内で、ゆったりとした夜のひと時が過ごせる。
店名の「BUR」は、ブリキと「バル(Bar)」を掛け合わせた。バルは食堂と酒場が一緒になった飲食店のこと。
建物は築87年の古民家。もともと呉服生地屋だったが、約20年前に閉店。その後、西町自治会が建物の利活用を探っていたところ、東京にある工場が大型プレス機を処分するという話を聞きつけた。
鉄人28号のおもちゃを製造していたプレス機だったということもあり、地域の活性化に生かそうとプレス機を引き取り、約10年前にブリキ玩具の工作体験ができ、レトログッズも販売する「ブリキ玩具製作所」として開業した。
西町は国史跡・篠山城跡の城下町の最西端に位置し、かつては街道を通って城下町に来る人々を迎えた活気ある町だった。しかし、今では人通りも減り、さみしくなっていたことから、「地元住民も観光客も気軽に集い、楽しめる場所をつくりたい」と、バルとしてリニューアルすることを決めた。
地ビールは市内の数店舗から取り寄せており、価格は500円くらいから。酒の肴は缶詰で、サバやオイルサーディン、アンチョビ、カキ、コンビーフなどを揃えている。
また、店長は同法人スタッフや市民らが日替わりで務め、腕に覚えのある店長が自慢の逸品を提供する日もある。
客席数は約20席。テーブルはブリキ板の裁断機の作業台やミシン台をそのまま活用しており、雰囲気を盛り立てている。
土日祝日の午前10時からは、これまで通り、プレス機を稼働させて作るブリキのミニカー工作のワークショップを開いている。
同法人の今村俊明理事長は、「『丹波篠山ファンを増やしたい』がテーマ。BURを拠点に、交流の輪が広がっていけば」と話している。
営業日時は金、土、日曜日午後6―10時。