兵庫県丹波篠山市にある兵庫医科大学ささやま医療センターが「医師2人体制では安全な分娩ができない」として、産科の分娩休止の方向性を出したことを受け、分娩維持を求める丹波篠山市と兵庫医大との2回目の協議がこのほど、丹南健康福祉センターで行われた。市側は酒井隆明市長、医大側は太城力良理事長らが出席。互いに考え方を述べたが、議論は平行線をたどり、継続審議となった。次回協議の開催日は未定。
協議は非公開で行われ、双方と立会人の県が協議終了後に取材に応じた。
太城理事長は、「来年3月までに分娩を休止したい」との意向を示し、「2年ほど前から方向性としては決まっていたし、7月末の理事会で再確認した」と話した。
一方、酒井市長は、「市としては、昨年6月に医科大と結んだ協定書に基づき、分娩できる産科に向けた努力を求めた」とし、「市としては『分娩できる産科』の考えに変わりはないが、他に方法があるのかないのかを含め、検討せざるをえない」と話した。
太城理事長は取材に対し、「安心・安全な分娩を保障することが『産科の充実』。産科医をこれ以上、増やすことも不可能。市民が病院を支え、医師の健康にも配慮するような気持ちを持ってもらえるよう市には協力を願いたい」と話した。
市は31日午後7時から丹南健康福祉センターで予定している「ささやま医療センターの産科充実に向けての検討会」で、今回の協議内容を報告する。酒井市長は、「市としては検討会で協議を重ねていくしかない」と話した。
また、市は市自治会長会(西潟弘会長)による同センターの産科分娩の存続を求める署名を同医大に渡した。市内260自治会長に呼びかけたところ、254人が署名した。