中学生が起業家に? 地域課題見つけ解決策検討 対価得る方法につなげる

2019.09.04
ニュース丹波市地域

オンラインで起業家から進め方についてアドバイスを受ける中学生ら=兵庫県丹波市春日町野村で

中学生が起業家に―?兵庫県丹波市立春日中学校2年生(104人)が今年度、起業家精神を育てる「アントレプレナーシップ教育」の実践に取り組んでいる。自分たちで地域課題を見つけ、解決策と対価を得る方法を考えるもので、夏休みには地域に飛び出して活動した。同市教育委員会によると、中学校におけるアントレプレナーシップ教育は県内でも珍しいといい、模索しながら初の試みを進めている。

 

県内でも珍しい「アントレプレナーシップ教育」

丹波新聞社を訪れ、手作りポスターを手に、ごみを減らす必要性について訴える中学生ら=兵庫県丹波市柏原町柏原で

同市教委は、「予測困難な社会において、自ら課題を発見し、多様な他者と協同しながら新しい価値を生み出す力が必要」と、アントレプレナーシップ教育に着目。昨年度、大学教員や起業家らでつくる専門家チームと、小中学校教員でつくる研究チームを立ち上げ、今年度、同中学校で実践している。起業家が身につけている▽主体性▽創造性▽探究心―などを育てることをめざしている。

生徒らは▽環境▽伝統文化▽商工業▽農業▽観光▽福祉・健康―の6つのテーマで、22グループに分かれて活動。1学期に起業家らから話を聞き、夏休みには地域の事業所などを訪れて課題を聞き取るなどし、講師らから進め方についてアドバイスをもらった。

農業班では、メンバーの家族が栽培する丹波大納言小豆を使って「あんまん」を作って売ることを考えているグループなどがあり、起業家との相談では、販売のための許可について調べる必要があるなどのアドバイスを受けた。

環境班5人のグループは、丹波市クリーンセンターを訪れて話を聞 き、ごみ分別の徹底を課題に設定。ポスターを手作りするとともに、丹波新聞紙面を通じて訴えようと、丹波新聞社を訪問。メンバーは「プラスチック分別は、総菜容器の値段シールをはがさなければならない、金属が混じっているものは分解して分けなければならないなど、知らなかったことが分かった。ごみを減らすことを多くの人に考えてもらいたい」と話した。

アントレプレナーシップ教育は初の取り組みながら、「生徒らは驚くほど積極的に動いている」(田中徹・春日中教諭)といい、主体的に計画を立て、話し合いながら実行しているという。

一方、進め方は中学生に全面的に任せ、事業者などとのやり取りも直接行っているため、事業所から「アントレプレナーシップ教育とは何なのか」と、問い合わせが何件かあったという。

「失敗もいい勉強になると考えている」と丹波市教委学校教育課の高見俊成さん。起業家として講師を務める横田親さんは、「中学生だから無理、と思っていることは多いだろうが、そうではない。思っているより、自分にできることはたくさんあると実感してもらいたい」と話している。

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