兵庫県丹波篠山市の一部の田んぼで秋の風物詩ともいえる「干しわら」作りが最盛期を迎えている。円錐形に組まれたわらがきれいに”整列”する光景は、芸術的とも言える美しさ。夕日を浴びて赤く染まるころには、うっとりとした表情でシャッターを切る人の姿も見られる。
干しわらを作る目的は、同市の場合、ほとんどが特産である「山の芋」の栽培に用いるためのもの。乾燥させたわらを畑に敷き詰めることで防草シートの代わりになったり、保湿、保温効果があるそう。
伝統的な農業技術の一つで、稲を刈り取る際に結束し、農家が一つひとつ手作業で組み上げている。牛などの家畜の飼料に使うケースもある。
せっせとわらを組んでいた男性(67)は、「かなりの重労働やけど、防草シートよりもわらのほうが良い芋ができる気がするし、後片付けも楽」と言い、「しんどいことせんとやめようか、という気持ちもあるけれど、やっぱりおいしいものができたらうれしい。それだけのためにやってますわ」とほほ笑んでいた。
市内の山の芋栽培農家は減少の一途をたどっており、干しわらを作る農家も減りつつあるという。