2014年8月に兵庫県丹波市を襲った豪雨の影響で、上流からの土砂流入で埋まった市観光100選の「独鈷(どっこ)の滝」(同市氷上町香良)の滝つぼを復活させようと、同市商工会青年部氷上支部(林周平支部長)がこのほど、ボランティアで土砂上げ作業を行った。2トントラック一杯の土を運び出し、石を積んで護岸をつくり、観光地にふさわしい外観に復旧した。
同滝がある渓谷は、滝の上流からの土砂で下流の香良(こうら)谷川が埋まった。滝へと続く遊歩道も流され寸断、大木の倒木が相次いだ。市の復旧工事で倒木や流木が撤去され、滝までの遊歩道も再整備されたものの、「独鈷の滝」のシンボルの滝つぼが埋まったままだった。同部の地域貢献担当委員長で、滝近くの岩瀧寺に出入りする石材業者の籔内智典さん(36)が、同寺関係者から「滝が埋まったままで観光地の魅力がそがれている。あちこち掛け合ってもなかなか予算がつかない」と悩みを聞き、同部で取り組むことにし、水に浸かっても寒くない間に実施した。
滝まで重機が入らないため、15人がスコップで土砂を上げ、階段状の遊歩道に板や土のうを積んで一輪車用の通路をつくり、100メートル以上離れた下流のトラックまで土砂運搬を繰り返した。
滝つぼから下流に水が流れる部分に石を積み池状にし、20センチほどだった水深を70―80センチほどにした。
林支部長(39)は、「できる限りのことはやった。滝つぼらしくなりすごく満足している」と話した。作業を終えた後、滝に打たれた籔内委員長は「結構な勢い。気持ち良かった」と目に入る水をぬぐった。