兵庫県丹波市青垣町の岩屋山エリアを練習拠点とする山下敦子さん(44)=同県神戸市、千寿製薬=が、10月5日―11日に韓国・コチャンで開かれた「PWC(パラグライディング・ワールドカップ)アジアツアー大会」で、男女を合わせた総合優勝を果たした。翼が大きい機体を操れる体格の良い男性が圧倒的に有利な競技で、1995年に始まったPWC主催大会で女性が総合優勝するのは、史上初めての快挙。
男性52人、女性7人が出場。昨年のPWC最終戦で順位が一桁の選手、元ヨーロッパチャンピオンら強豪の男性選手も出場していた。「挑戦できたし、冷静でもいられた。気持ち良く飛べた。100点満点で言うと98点」と振り返る。
天候不良で7日間中、飛べたのは、最後の2日だけ。6日目は45キロ、最終日は41キロを飛ぶタイムレース。6日目は日没で1人もゴールできなかった。山下さんは先頭で引っ張る積極的な飛びで高得点を獲得、トップまで21点差の好位置に付けた。
翌日は、ゴール地点までの高度の位置取りが勝敗の分かれ目になった。韓国のトップ選手らがいる先頭集団より低い高度を選択、いい風が吹き、この日の最高点を獲得した。2日トータルで1091点となり、2位に3点差をつけ総合優勝を果たした。
「仕事を休んで遠征に来たのに」と気持ちが沈み、あれこれ考えていたが、「自分の技術が上がれば。思うような挑戦ができればいいか」と気持ちを立て直し、無欲で臨んだのが幸いした。
「経験が物を言い、まぐれはない競技。うまい人の背中を見て練習を続けてきたけれど、自分もそれなりに経験を積め、成長できていたのかなと感じられた」と喜びを語った。
昨年度のジャパンリーグ女子日本チャンピオン。今年も女子では1位で、総合3位につけている。上位10傑で女性は1人。