子どもの興味に応じた指導をする無料パソコン教室「デデデ」を、兵庫県丹波篠山市の十倉哲生さん(40)が始めた。高校生以下を対象とし、イベントなどに出展する移動教室の形態で、キーボードの操作からプログラミングまで教える。十倉さんは「パソコンは、何かをしたい、生み出したいと思った時にいいパートナーになってくれる道具。コンピューターっておもしろいと思ってもらいたい」と話している。
「デデデ」は「デジタル・デバイド・デストロイド」の略で、「情報格差をなくしたい」との思いから付けた。「パソコンやインターネットに興味があるのに、親がオンラインゲームなどにマイナスイメージを持っているため触らせてもらっていない子もいる」と言い、「生まれた場所でチャンスの数が変わらないよう、誰でも来て学べる場所をつくりたかった」と話す。
9月にインターネットを通して自分の想いに共感した人から資金を募る「クラウドファンディング」で、目標資金21万円を獲得。教育用に開発された低価格の小型パソコン「ラズベリーパイ」と、モニター、キーボード、マウスなどを5セット調達した。
プログラミング言語「スクラッチ」「パイソン」、画像編集「ギンプ」など、主に無料のソフトを利用。ゲームや作曲、絵を描く、プログラミングなどさまざまな体験ができる環境を用意している。また、キーボードには、記号に読みがなを振ったり、打ちやすいように指の置き方を色で示すなど工夫を施した。
十倉さんは、同県丹波市氷上町出身。大手電気機器メーカーの開発部門で勤めた経験があり、エンジニアたちと一緒に仕事をしていたことからパソコンに詳しくなったという。40歳を機に、「自分の得意なことを活かして社会貢献をしていきたい」と考え、「デデデ」を立ち上げた。十倉さんは「無料にこだわって続けていきたい。ゆくゆくは決まった場所で教室を開ければ」と話している。