兵庫県丹波篠山市にある兵庫医科大学ささやま医療センター産婦人科の分娩休止問題を受け、同市自治会長会(西潟弘会長)はこのほど、同市役所で市民などから集まった分娩存続を求める要望書1万7427筆を酒井隆明市長に手渡した。医大は産科医不足により、「安全な分娩を行えない」として来年3月末をもっての分娩休止を決めているが、西潟会長は、「市民の気持ちを医大に伝えてほしい。今後、医大との交渉や協力を求める際に、この署名が力になれば」と話した。
署名では、同センターは「地域医療を担う中核病院として市民生活を支えており、分娩休止は、市民が子どもを産み育てる環境が奪われてしまう」と懸念。医大に分娩存続を要望する意思表明として署名を求めた。
問題を巡って、自治会長会(260自治会)は今年8月、自治会長による存続の要望書を、市長を通して医大に提出。その後、9月末まで全自治会長を通して住民の署名を集めていた。
署名には会社関係や帰郷していた人など、市外の人も含まれているものの、署名数は市の全人口の約42%に上り、18歳以上の有権者数で言えばほぼ半数となった。西潟会長は、「多くの人に協力していただき、感謝している。市民の意思の固さを感じた」とした。
ただ、医大はすでに分娩休止を決定しており、院内にも今月1日から休止を告げる張り紙を掲示している。受け取った酒井市長は、「医大との次回協議は決まっていないが、すみやかに医大に届けたい」とし、「(市民も交えて将来の分娩を考えている)検討会で今後の体制を検討している最中。医大に協力を求めることもあるため、署名は大変心強い」と話していた。