兵庫県丹波篠山市の西紀きた幼稚園で早朝の預かり保育をボランティアで行っている「きたっこ守り隊」にこのほど、子育て家庭への支援などに先進的な取り組みを行っているとして、県知事から「ひょうご子育て応援賞」が贈られた。市内で唯一、地域住民が無償で取り組んでいる早朝預かりの事業。メンバーらは、「草山(西紀北)地区のみなさんが地域を、子どもたちを愛しているからこそ」と受賞を喜んでいる。
きたっこ守り隊は、現在、”隊長”の中井章博さん(70)をはじめ、谷掛まゆみさん(64)、山根みはるさん(66)、羽馬慶子さん(59)、中井紀子さん(49)の5人が所属。
早朝から働きに出る保護者の支援にと、交代で平日の午前7時半から8時半まで園内で園児を預かり、一緒に絵本を読んだり、コマ回しをしたり、時にはサッカーもしたりと、同じ地域で暮らす子どもたちとふれあってきた。
現在は希望園児がいないため、「待機」の状態になっているが、過去には5人の園児がいた時もあったという。
結成は2011年。当時、午後の預かりを担う保育施設が他地区にできる際、「草山地区からは長距離になる。事故が起きては大変」と、自治会長らが市に対して地区内での施設整備を要望し、実現。同時に見守り隊も発足し、早朝の預かりは地域住民が担うことになった。
市内では預かり保育がある幼稚園で早朝の預かりも実施されているが、他園は有償のスタッフで運営されており、無償のボランティアが取り組んでいるのは西紀きた幼稚園のみ。同園の本田毅園長は、「『地域の幼稚園なんだ』という強い思いを感じる。スタッフが地元の人ということで、預ける保護者にも安心感がある」と感謝する。
メンバーらは、「園児たちとふれあうのは楽しい。エネルギーをもらえる」と声を合わせ、「顔見知りになったり、地域の子どもとつながれる機会です」とほほ笑む。
中井隊長は、「最初に預かった子はもう中学2年生。結成当初のメンバーの中には亡くなられた人もいる」と振り返りながら、「幼稚園と小学校を中心に、若い人が活躍し、仲良く生活できることを願っている。受賞を機に、草山地域に帰ろう、住もうという人が一人でも出てくれたら。ぜひ、草山へ」と笑顔で話していた。