新春恒例の本紙企画「不思議探訪」。まちを歩けば、さまざまな「?」に出くわします。今年は「像」に焦点。なぜ、そこに。どんな意味が。取材を進めると、いろんな思いが込められていました。
鬼に「FREEDOM」「LOVE」と書かれた気になるオブジェが、兵庫県丹波市山南町の和田橋のそばにある。
鬼は3体。どことなく愛らしい顔だ。左右の2体は、台座のような部分に英語が刻まれている。裏側に「PEACE」「HOPE」の文字もあった。
作者を探すと、陶芸家の田中ひろやさん(59)と分かった。今は地元の同町北和田に住んでいるが、制作当時の1995年は、西宮市にいたという。
橋の完成に合わせ、「鬼神」を制作中、阪神淡路大震災が発生。全壊したアトリエから取り出して焼くと、2体の口から下が欠けてしまった。
そこで地中から出てくるイメージに切り換え、橋の重要性と未来への希望を文字に刻んだという。「FREEDOM」は、橋による往来の自由を表しているそうだ。