新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、兵庫県丹波篠山市で3月1日に開催予定だった「第40回丹波篠山ABCマラソン」の中止が決まった。同市などでつくる実行委員会が20日に決定した。兵庫県内では同日時点で新型肺炎の感染者は出ていないが、全国各地から約1万人が集まる大会を開催することは、市民やボランティア、ランナーの安全を守る上で懸念があるため。東京マラソンをはじめ、全国各地でマラソン大会の中止や規模の縮小が相次いでいる。
同大会は関西では老舗のフルマラソン大会で、田園風景と地元住民らによるもてなしが好評を博している。今年は1万720人が出走を予定しており、北は北海道、南は沖縄県まで43都道府県からエントリーがあった。
中国・武漢に端を発する新型コロナウイルスによる肺炎が国内でも広がりつつある中、災害用で備蓄しているマスクを準備するなど普段以上に感染症予防に注力したり、公式サイトでもランナーに注意を呼びけるなど、さまざまな対策を取りながら、開催に向けて準備を進めていた。
しかし、東京マラソンが一般ランナーの出場を取りやめたほか、23日に開催予定だった同県姫路市の姫路城マラソンが中止を決める中、ランナーやボランティアから問い合わせがあり、20日に臨時で実行委員会を開催し、中止を決定した。阪神・淡路大震災が発生した1995年以来の中止となった。
大会の開催要項には、「主催者に責任のない事由(警報、地震、風水害、降雪、事件、事故、疫病等)で大会が中止となる場合、参加料は返金しない」としており、今大会も返金しない。
代わりに今大会に申し込みがあったランナーを来年の大会に優先的に申し込める機会を設け、2000円割り引くことで、実質的に今大会の一部返金とする。また、完走証の発行料金(300円)も次回大会で全額免除にする。すでに出来上がっている参加記念品のTシャツや大会プログラムは送付する予定。
大会長の酒井隆明市長は、「大会には市民1600人がボランティアとしてかかわる。市民への影響を考えると中止せざるを得ない」とした。