無償化影響か?「2号認定」増加 保育士不足で「待機」「保留」も増か 新年度の園児数

2020.03.29
ニュース丹波篠山市

兵庫県丹波篠山市は2020年度の幼稚園、保育園、認定こども園の園児数をまとめた。昨年10月から始まった「幼保無償化」後、初めての年度替わりで、保育園や認定こども園では園児の認定区分の中で、「2号認定」(3歳以上で保護者が就労)が増加するのではと見込まれていた通り、2019年度から37人増加。断定はできないものの、一定数無償化の影響があると考えられる。微増にも見えるが、保育士不足は依然深刻で、受け入れは毎年、限界に達しており、昨年10月時点の6人より多い「待機児童」が出る可能性が高くなっている。

無償化は、消費増税による税収増を財源に、全世帯の3―5歳児と住民税非課税世帯の0―2歳児を対象に、保育料を無料にするもの。

2号認定の増加が見込まれていた理由は、従来、「働いても保育料になるだけ」と考えていた保護者が、「無償ならば働きに出よう」と考える可能性があることだった。

新年度、同市内の保育園と認定こども園の0―5歳児の合計は838人。19年度の797人と比べると41人増えた。こども園の短時間部(1号認定)を除いた3歳以上で見ると、19年度の450人に対し、新年度は487人と37人増えている。

同市教育委員会は、「人数を見れば増えているが、世代間で子どもたちの人数に差があるため、一概に無償化の影響とは断定できない。ただ、就労したいという保護者は増えている印象」と話す。

ただ、市内の園は保育士不足のため、毎年、”事実上の定員”に達している状況。市教委によると、申込者が増えたことに伴い、今後詳細な調査に入るものの、保護者が就労しているのに入園できない「待機児童」は19年度を上回る可能性があるという。

また、特定の園への入所を希望したものの入れず、ほかの園に空きがあっても、最寄りではないことなどから入園しないケースや、入園できれば就労することを考えていたものの、入園できなかった「入所保留児童」も、19年度の約60件から約80件にまで増えている。

ある同市内の園関係者は、「無償化で増加を懸念していたが、そこまで大きな増加は見られなかった。とはいえ、増加したのは無償化によるものだと思う」と言う。ただ、保育士不足は依然として深刻で、受け入れたくてもこれ以上無理なのが現状。求人広告を出してもまったく反応がない。特に若い保育士の処遇改善をしなければいけない」と話した。

一方で、「子どもが増える要因はないので今がピークで、先細りは確実。手を打つにも将来のことを考えると手が出しにくいのが現状」と苦しい胸の内を明かした。

幼稚園については、1幼稚園で入園児がゼロになったほかは大きな変動は見られなかった。

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