南米アンデス地方の民族音楽「フォルクローレ」の愛好家が、フォルクローレに使われる弦楽器「チャランゴ」の練習会を兵庫県丹波市で開いている。同市内唯一の演奏家で、40年以上のキャリアがある足立晃一郎さん(66)が様々な奏法を指導している。他に教える人もいなければ、教わりたい人も少ないマイナーな音楽教室。弦をはじきながら、清々しさと、どこか郷愁や哀感が混在となった音色を楽しんでいる。
フォルクローレに使われる縦笛「ケーナ」愛好家の安田ミスキーさん、齋藤ロサさんら4人が、「ケーナとのアンサンブルを楽しみたい」「好きな曲を弾けるようになりたい」と足立さんに頼み、2年前から月に1度、教わっている。
チャランゴは、弦が10本(5音階×2本の複弦楽器)で、ウクレレくらいの大きさ。弦を押さえるネック部分はギターと同じくらいの太さ。マンドリンのようなトレモロ、ギターのようにジャカジャカかき鳴らすカッティング奏法で演奏する。
フォルクローレの代表曲「コンドルは飛んでいく」のほか、メンバーが弾きたい曲を練習しており、「君の影になりたい」「プル・ルナス(鳥の人)」などが、教室生のレパートリー。齋藤さんは「家族には、『何でそれを習うのかな。変わったことをして』と言われる」、安田さんは「速い曲は指がついていかないし、リズムが難しい」と顔を見合わせ苦笑い。2人は、「他の楽器と合奏するのがめっちゃ楽しい。レパートリーを増やし、もっと楽しみたい」とほほ笑んだ。
足立さんは、「県内では神戸に教室はあるが、ほかは聞かない。この教室も教室と言えるほどではないけれど、好きな人が楽しむ音楽の原点がある」と話している。