端午の節句を控え、兵庫県丹波篠山市本郷で、地域住民らが田園地帯の空に鯉のぼりを揚げている。色とりどりの鯉たちの数は約150匹。風を受けながら優雅に泳ぎ、新型コロナ禍で暗いムードが漂う中、住民たちを明るい気分にさせている。
約30年前から続く恒例の催しで、10年ほど前からは、20―40代の地元の有志らからなる「郷遊会」が主催している。
設営には、同会員だけでなく、地域の小学校や幼稚園の教職員らも参加。新型コロナウイルス感染予防のため、マスク着用を呼びかけて行った。
同校の運動場から、向かいにある丘までの約200メートルにわたってワイヤーを渡して掲揚。毎年メッセージもつけており、今年は新型コロナウイルスの収束への願いを込め、ペンキで「コロナに負けるな!」と書いた看板も取り付けた。
鯉のぼりは小さいものは直径2メートルほどで大きいものは、直径約10メートルほど。毎年、地域住民らから家庭で不要になった鯉のぼりを募り、年々増加している。同校や同園の子どもたちによる手作りの鯉のぼりもある。
近くに住む女性(80)は、「地域の『絆』の証。元気をもらえる」と笑顔で話していた。同会の榮治彦会長(36)は「祭りのときのように人ごみにならないよう気を付けて」と注意を呼びかけ、「自粛ムードで、何かと暗い世の中だけど、鯉のぼりを見て、『シュンとなっとってもあかんわ』と、少しでも前向きな気分になってもらえれば」と話している。