兵庫県丹波篠山市藤坂の長尾勝美さん(71)宅の巣箱に営巣していた野鳥の「シジュウカラ」のひな7羽が17日、無事に巣立った。巣立ちの瞬間を見守った長尾さんは、「心臓がバクバクした。7つ子を育てた親鳥たち。とても感動しました」とやわらかな笑みを浮かべていた。
巣立った瞬間
長尾さんによると、巣立ったのは午後2時から1時間半ほどの間。1羽あたり5分から10分かけて飛びだったという。
親鳥が餌を口にくわえたまま木の上で待っていたり、巣箱の周囲を飛んでいたことから、巣立ちが近いと感じた長尾さん。縁側の障子の1枠をカッターで切り取り、カメラとビデオを三脚に据え、立ったまま妻と共に鳥たちを見守った。
「足が痛かった」というものの、巣箱から顔を出したひなが何度もためらっている光景に、「飛べ!」と手に汗握って応援。慣れない羽ばたきながら、見事に飛び立つと「おお」と歓声を上げた。
最後に巣立ったひなは、どういうわけか玄関前に着地。まるで「お邪魔しました」と別れのあいさつを告げるようにしてから姿を消したという。
10年ほど前から巣箱を置き、毎年のように営巣しているが、巣立ちを目撃したのは初めて。「孫の旅立ちを見ていたような気分。この巣箱が”実家”。また来年、帰ってきてくれたら」と話していた。