新型コロナウイルスの感染拡大防止による臨時休校が続いていた兵庫県丹波市唯一の高等教育機関、同市立看護専門学校で、オンライン授業が始まっている。小中高校の「学習支援」とは異なり、単位が認められる正式な授業。決められた単位を取得しなければ看護師の国家試験受験資格が得られない危機感があり、授業を開く必要があった。ひと月遅れの講義の始まりに生徒も教員も安どしている。
1―3年生112人が、月―金曜の週5日、1時限90分授業を4コマ学ぶ。4月は入学式を開いただけ。臨時休校中は、自習用の課題を出していたが、講義が行われておらず、単位認定の対象外だった。カリキュラムを組み替え、オンライン対応の体制が整ったことからスタートさせた。
会議ソフト「Zoom」を使用。学生は、自宅からパソコンで授業に出席する。教員は、学生がいない教室で、パソコン画面に表示される生徒の顔を見て出欠を確認し、パワーポイントの画面やホワイトボードの板書の映像を生徒と共有しながら授業を進める。
教員が手本を見せ、学生にやらせる「看護技術」の授業は対面でないとできないため、教科書で学ぶ座学を先行させている。
3年生34人は病院や福祉施設、保育所、学校などで計90時間の実習に入る予定だったが、6月2日からに変更。病院以外の実習は、受け入れ先も不安だろうと、とり止めた。実習病院も、コロナの影響で受け入れ先が5カ所から3カ所に減った。3月末に導入したばかりの、高性能の患者シミュレーション人形を使って不足分を補う。
3年生の古谷紗弥加さんは、「どうなるんだろうと不安だった。授業が始まり、ほっとしている」と言い、「オンラインの方が楽かなと思っていたけれど、目が疲れる。新しい形で新鮮」と話していた。
林かおる副校長(教務主任)は、「授業時間数の確保だけでなく、質も落とさないようにとみなで考えた。第二波にも備え、できる限りのことをしていく。座学はオンラインで問題なく進めていけそう。教える方もパソコンの画面を見たままなので、疲れます」と笑い、手応えを感じていた。
同校によると、2022年から始まるICT(情報通信技術)を使った看護教育を見越し、同校が移転新築した際にICT対応を進めていたことで、県内の看護専門学校の中では早い時期にオンライン授業を行うことができたという。