昨年10月に兵庫県丹波市内で開かれた元文部科学事務次官の前川喜平さんの講演会をめぐり、同市教育委員会が主催団体からの後援依頼申請を許可しなかった問題で、岸田隆博教育長はこのほど、申請団体の有志グループと同市内で面会し、「手続きに適正を欠いていた」などと謝罪した。一方で、「不許可とした判断は正しかった」との見解を示した。有志グループは「改憲に反対する9条の会に結集する市民を差別、排除していいのかという思いは、ずっと持ち続けている。納得できない」とした。
後援が不許可になったことを受け、講演会の実行委員会の有志7人が昨年11月に組織した「市教育委員会のあり方に疑問をもつ市民の会」によると、実行委を構成する「丹波市9条の会連絡会」「ひょうご丹波・憲法を生かす会」の2団体は、市教委から「政治活動に関わっている恐れが非常に強いと推察される」などと不許可の理由を伝えられたという。
岸田教育長は、全国組織の「九条の会」のウェブサイトを見て、「政治的な活動をしている」と判断したことを説明した上で、「これまで後援・共催願いは、許可・不許可に関わらず、教育長決済による専決処分とすることが慣例だが、丁寧に聞き取りを行い、市教委の会議にはかるべきだった」と手続き上の過ちは認めたが、「不許可とした判断は正しかった」と述べた。