兵庫県丹波市市島町北奥の農家らと都市住民の計14人でつくるグループ「ムラとマチの奥丹波」が、同地区ののほ場で農作物を栽培するプロジェクトをスタートさせた。都市住民と地元住民がともに農作業を行いながら、互いにメリットを生み出そうという企画。初めての作付けはサツマイモで、6人のメンバーが約10アールのほ場に5種類の苗約1000本を手際よく植えた。メンバーたちは「一人でこんな作業をしていたらしんどいばっかりやけど、みんなでやると楽しいわ」と額に汗をにじませながら笑顔を見せていた。
地元で農業を営む荻野拓司さん(67)と、岸下正純さん(69)が共同代表を務める。メンバーの年齢層は20―70代。都市部からは、たつの、西宮、宝塚、神戸の住民が名を連ね、地元住民も都市部からのIターン者がほとんど。荻野さんがほ場を提供している。
共同代表の2人は、新型コロナウイルスの世界的流行を含め、社会情勢の変化が目まぐるしい近年、改めて農業の持つ普遍的な役割や大切さを見直す必要性があると考えた。
そこで、「農作物の栽培、加工、販売を通じて、マチ(都市)とムラ(北奥)の人や物をつなげる活動をしていこう」と、知人が知人を呼ぶ形で輪を広げ、今年5月に同グループを立ち上げた。
荻野さんは、「マチのメンバーにとっては、自ら栽培に携わることで納得のいく安心安全の農作物を手にすることができる。ムラは、農作業を通じた人の交流から活力を呼び戻すことが期待できるのでは」と話す。
近く、約7アールのほ場に丹波地域特産の黒大豆の苗約2500本の定植を行う予定。農作業を手伝うサポーターも募集している。