兵庫県丹波市の「丹波の森公苑」で、赤いカミキリムシのような姿をした珍虫「ヒラズゲンセイ」が見つかった。発見者で同公苑職員は、「有毒昆虫と聞く。また、丹波では珍しいとも聞いているので、注意喚起の意味も込めて展示を考えている」と話している。
5日、玄関近くの植栽の中で見つけた。「以前、新聞で紹介されている記事を読み、その存在を知っていたので、見つけた瞬間、それと分かった」と職員。
ヒラズゲンセイの近畿地方の生息範域を調査している大阪市立自然史博物館の初宿成彦・主任学芸員によると、温暖化で、分布域が北に広がりつつあるという。同博物館が把握している限りでは、丹波市で確認されたのは2017年以来、3例目。
同公苑で見つかった個体は、体長約2・5センチで、カミキリムシやクワガタムシのような大あごが目立つオス。
ツチハンミョウの仲間で、体液にカンタリジンという毒を含み、人体の柔らかい部分に付着すると水ぶくれができたり、ただれたりするという。初宿主任学芸員は、「触ったら必ずかぶれるわけではなく、毒毛虫や植物のウルシと同程度」と話す。
クマバチに寄生し、成虫はクマバチの巣の中に侵入して産卵。かえった幼虫はクマバチが集めた花粉を食べて成長する。成虫になると何も食べず、栄養は全て幼虫の間に得たもので過ごす。近畿では6月上旬―7月中旬に現れる。オスの大あごは、メスをめぐるオス同士の闘争に使われるという。