新型コロナウイルスの影響で夏休みが短縮され、猛暑の中を通学することになった小学生を熱中症から守ろうと、兵庫県丹波市内の観光バス会社3社が、登下校時に無償で送迎バスを走らせるボランティア活動がこのほど、実施校の北小と和田小で始まった。両校の遠距離通学児童計126人が利用し、朝夕、観光バスに乗って登下校。北小の83人は、大伸観光と丸茂観光バスが送迎。和田小の43人は、大垣観光バスが担当している。週末や夏休み期間などを除く8月25日までの延べ13日間実施される。
初日、北小児童のバスの乗降場所の一つになっているローソン氷上北店駐車場には、平時は4キロ近くを歩いて学校へ通っているという氷上地区の児童約10人が午前7時過ぎにやって来て、手の消毒を済ませると、うれしそうにエアコンの効いたバスに乗り込んだ。
2人のわが子を見送りに来ていた母親は、「特に気温の高い下校時が不安で、保護者間で子どもたちの送迎計画を練っていた矢先のことだった。地元企業にこんなことをしてもらえるなんてびっくり。感謝の言葉しかありません」と喜んでいた。
学校に到着した児童たちは、出迎えた教師らに「おはようございます」と元気よくあいさつしながら下車。いったん整列して周囲の安全を確認すると、それぞれの教室に向かって駆けて行った。
約40分かけて通学しているという6年生の女子児童2人は、「田んぼの中が通学路なので、日陰が全くなく、夏の通学は本当に大変。でも今年の夏は観光バスで送ってもらえて旅行みたいで楽しい。バスの人たちに応援してもらっているので、私たちも暑さに負けず頑張ります」と声を弾ませていた。
和田小の細見宏幸校長は、「1時間以上かけて通学する子どもがいる。熱中症対策として、最寄りの公民館を給水ポイントにして休憩しながら帰るようにと全校児童に意識付けをしている。そんな中での今回の申し出。本当に感謝を申し上げたい」と話している。
丹波警察署も協力。バスの乗降場所となっている公民館などの各所に警察官が立ち、児童たちの安全を見守っている。