農家と企業の「橋渡し役」に 黒枝豆扱う流通会社設立 20―40代の若手農家7人で 「ブランド守り、さらに発展を」

2020.08.16
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「B・B LINK」を設立した若手農家ら=2020年8月7日午後5時39分、兵庫県丹波篠山市網掛で

「丹波黒大豆」発祥の地として知られる兵庫県丹波篠山市内の20―40代の若手農家7人が発起人となり、農家と販売企業をつなぐ株式会社「B・B LINK(ビー・ビー・リンク)」を設立した。主にさや状態の黒枝豆を契約農家に出荷してもらい、百貨店やスーパー、市場などへ卸す。契約農家には売り上げ増を、取引企業には商品を安定供給するなど、互いのメリットを創出。単に流通を担うだけでなく、生産現場をサポートし、産地の品質向上にも力を入れる。同社は、「先人が築いてこられた『丹波篠山ブランド』を守り、さらに発展、成長させていく一役を担いたい」と意気込んでいる。

生産者が個々に企業と取引するには、まとまった量が必要だったり、多様な出荷形態が求められたりして、やり取りが複雑。そこで同社が「橋渡し役」となって調整し、スムーズに両者をつなぐ。同社は差額の手数料で運営する。

立ち上げたのは、田渕真也さん(44)、大坂宇津実さん(27)、原智宏さん(42)、吉野剛弘さん(34)、阪東佑貴さん(42)、構井友洋さん(36)、石田英正さん(39)。7日に設立総会を開き、田渕さんが代表取締役、大坂さんが専務取締役、ほかの5人が取締役に就任した。

10年ほど前から数軒の農家で、さやの黒枝豆の出荷をスタート。作業機械の導入などで効率化に努め、生産量、出荷量共に増加し、昨年度はシーズンの10月だけで10トンを取り扱い、約1200万円を売り上げた。

販売先からの取引要望が増えてきたことから法人化し、契約農家、取引業者共に拡大を図ることに。今シーズンは取扱量20トン、売上高2400万円を目標に掲げ、出荷農家20軒、取引業者15社を目指す。

グループなどでの共同出荷は各地にあるが、法人化するケースは珍しいという。

生産現場では、品質向上と安定供給のためにメーカーなどとも連携しながら、出荷農家に最新の資材情報の提供や機械作業の斡旋、同社の試験ほ場から得られる栽培技術を提供するなどのサポートにも力を入れる。

田渕さんは、「今は黒枝豆の栽培面積は維持できているが、将来はどうなるか分からない。JAなどとも連携しながら、販売促進とブランド発展に取り組み、特産を守っていけたら」と話している。

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