目標は「樹木誌」の作成
結成から20年を迎えた自然同好グループ篠山自然の会をはじめ、多紀連山のクリンソウを守る会、県立ささやまの森公園運営協議会、丹波地域恐竜化石フィールドミュージアム推進協議会など、多数の自然関連の組織の会長を務めている。83歳のいま、「スムーズな世代交代を考えなくては」と話す一方で、「丹波篠山に自生する樹木を網羅した樹木誌を作ることが目標」と語る。自然への探究心、熱き想いはまだまだ尽きそうにもない。
教職の傍ら、「日本の植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎と交流があったほど植物に造詣が深かった父・繁一さんの影響で、幼いころから自然に興味を抱いていた。中学時代は植物ではなく、チョウに熱を上げ、標本作りにいそしんだ。「いわゆる昆虫少年。標本箱は10箱ほど積み上がった」
兵庫農科大学(神戸大農学部の前身)へ進み、登山に熱中。日本アルプスを中心に各地の峰に足跡を残した。卒業後は父と同じく教師の道へ。生物と地学の教師として勤めた柏原高校ではワンダーフォーゲル部を創部し、生徒を連れて毎年、槍穂高、立山へ通った。
「最近、下り坂が辛くなってきた」と言いつつ、今も健脚。今夏、息子と孫の3世代で立山に出かけ、山小屋で2泊しながら縦走を楽しんだ。
「人間よりはるかに長い年月を生き抜き、枝を張りそびえ立つ巨木には畏敬の念を抱かずにはいられない」と、特に樹木に強い関心を寄せる。「樹木誌の編集のため、パソコンには調査した樹木を記載できるようたくさん欄を設けているが、それがなかなか埋まらなくて。完成は一体いつになるのやら」と笑った。