今年、21回目が行われている「国勢調査」―。ちょうど100年前の1920年(大正9)、国を挙げた一大事業として実施された1回目を記念し、兵庫県氷上郡(現丹波市)の各町村の調査員らを写した「記念写真帖」を、同市市島町の西山泰代さん(70)が保管している。20年10月1日時点での氷上郡は1万5662世帯、人口7万1365人(男性3万5685人、女性3万5680人)などの調査結果も付いている。西山さんの祖父・茂治さん(調査員だったことから伝わっており、「傷みが割と少なく、きれいに残っている。初回のものなので貴重なのでは」と話している。
写真帖は、調査から数カ月後の21年2月に同郡の「岡林写真館」が発行。郡内の全町村の調査係と調査員らを網羅しており、総勢600人ほどが写っている。調査員のほとんどは紋付き袴姿の正装で、当時の町長や村長、主任ら役員の写真も別枠で掲載されている。役場や地域を象徴する場所などで撮られたとみられる。
後半には、調査員らの名を記載し、のちに代議士になる人物らも名を連ねている。
調査結果によると、氷上郡で世帯数、人口共に最多は和田村で1240世帯5971人。他に1000世帯を超えているのは柏原町(1026世帯4777人)と幸世村(1166世帯5265人)。
全国版の項目では「臺灣(台湾)」「樺太」「朝鮮」の結果もある。
調査員に任命されることは名誉とされ、内閣から「国勢調査員ヲ命ス」と書かれた任命状や、メダルのような記念章が贈られた。西山さん宅には茂治さんへの任命状が残っている。