「観光以上、移住未満」をコンセプトにし、兵庫県丹波篠山市外で暮らす人を対象に、丹波篠山との“二拠点生活”を提案するツアーがこのほど同市内で開かれた。京都や大阪などから4組9人が参加。市内の宿に宿泊しながらリモートワークをしたり、観光や買い物を楽しんだりと、丹波篠山での生活を満喫した。
株式会社「NOTE」や市、観光協会、一般社団法人「ウイズささやま」などが実施主体。観光庁の補助を活用し、参加者の宿泊代とレンタカー代は無料にした。
新型コロナウイルスの影響で、リモートワークが進む中、仕事を地方に持ち込んで生活を送る動きが活発化していることを受け、都市部に近い地方をもう一つの拠点としてもらえるよう、市内での暮らしを体験できるツアーを企画した。
参加者らは、古民家を改装したゲストハウスなどに滞在。城下町の散策や丹波焼の作陶体験などの観光をはじめ、店舗でのアルバイト体験や獣害防止柵の点検、早朝の雲海鑑賞など、通常の観光よりも“ディープ”な丹波篠山を楽しんだ。「コワーキングスペース」も視察。料金設定やインターネット環境の状態などを確認しながら、早速仕事をする人もいた。
京都市在住の大学生で、新規就農を目指し、すでに移住を決めている女性(19)は、「黒枝豆の収穫の手伝いで丹波篠山には来ているけれど、歴史や面白い人など、まち全体のことを知るきっかけになった」と笑顔で話していた。
計画に携わり、ツアーにも同行した田川剛さんは、「今の観光は日帰りが中心だが、一歩踏み込んだ新しい観光やライフスタイルの形として提案していきたい。まずは丹波篠山を知ってもらい、ファンになってもらえたら。その先に移住もあるのでは」と期待している。
12月9―13日にかけても実施予定で、参加者を募集している。