認知機能への効果探る 「クロモジ精油」で臨床試験 性格が穏やかに?

2020.12.05
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被験者にヒメクロモジオイルを塗るデイサービスセンター「すみれ」の職員=2020年11月16日午後1時56分、兵庫県丹波市柏原町挙田で

日本園芸療法学会認定の上級園芸療法士、菊川裕幸さん(31)=兵庫県丹波市教育委員会文化財課職員=は、同市産ヒメクロモジ(クスノキ科)の精油を用いたアロマセラピーが要介護の高齢者の感情やストレス変化、認知機能などに良い効果をもたらすと仮説を立て、同市内のデイサービスすみれ(久下松代代表取締役)で臨床試験を行っている。九州大学病院臨床試験倫理審査委員会の承認を受け、臨床試験に乗り出した。

ヒメクロモジ精油の効果を探るべく、「ストレスホルモン」とも呼ばれるコルチゾールの値を測るための唾液の採取や、感情を分析できるリストバンド型の測定器で幸福感や怒りの感情を数値化。認知診断検査も数回行い、認知機能の変化も検証する。

被験者は要介護認定を受けている同施設の利用者男女10人。まずはプラセボ効果(偽薬を効き目のある薬を服用していると本人が思い込むことによって、病気がよくなること)を狙い、精油の入っていないオイルを職員が被験者の両肩に塗り、脳に負荷をかける折り紙や塗り絵などのレクリエーションを行う。週2回、2週間続けた後、今度は精油を1%に希釈したオイルを両肩に塗り、同様の実験を同期間、同じ要領で実施する。精油を希釈したオイルを使用している「介入期間」中は施設にいないときにも同オイルを染み込ませたタオルを常に装着して過ごしてもらう。

介入期間を終えると約10日間の「ウォッシュアウト」期間を設け、アロマ効果をリセットしてから第2クールに入る。手順や期間は第1クールと同様。臨床試験の終了は今月下旬となる見込み。

久下代表取締役は、「ヒメクロモジオイルを塗布し始めてから、長時間座っていられたり、性格が穏やかになられたりする人もいる。効果が実証できれば、家族のストレスは低減され、在宅介護の推進にもつながるのでは」と期待している。

菊川さんによると、要支援・要介護の高齢者を対象としたヒメクロモジ精油によるアロマセラピー効果を検証した事例は国内ではみられないとし、「効果が認められれば、アロマは導入も非常に簡単なため認知症予防プログラムに組み入れやすい。市内の山林に数多く自生するヒメクロモジを資源として使用できるので、新ビジネスの創生にもつながるのでは」と話している。

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