新人記者時代、何も知らなかった私はとんでもない”衝撃”を受けた―。兵庫県丹波篠山市住吉台にある「坂」に。
誰が呼んだか、「凸凹坂」「ボコボコ坂」「すごい坂」などの異名を持つ坂。道路の一部に隆起を作って車に振動を与え、減速を促す構造物「ハンプ」と呼ばれるものが設置されているが、隆起具合がすごい。
ちょっとやそっとの減速では尻が浮く。車高が低い車が突入したならば、ほぼ確実に底を擦るだろう。
市によると、昭和50―60年代に設置されたものという。当時はハンプの基準がなかったため、現在の基準よりも高い隆起になっているそう。
地元の人々は毎日、この凸凹を乗り越えているのかと思いきや、住民に話を聞くと、「地元はあまり通らへん場所やからな」。
小高い山の上に作られた宅地への入り口は南北に2カ所ある。そして、南北を貫く道の両側に宅地が広がっている。ハンプがあるのはこの幹線道路の頂上から南側下りの途中にかけてだ。
住民は南北どちらから入ったとしてもハンプまでに枝分かれしている左右いずれかに曲がって家に向かう。そのため、地元住民はハンプがあってもなくてもほぼ通らない場所になるという。
ではなぜハンプはあるのか。男性や市まちづくり部によると、スピード抑制はもちろんのこと、他地域の人の「通り抜け抑制」のためだという。
住吉台が開発された当初、ハンプはなく、ショートカットのために宅地内を通り抜ける車が多かった。大人はもちろん、子どもが通学で横断することもあり、住民らが行政に対応を求め、ハンプを設置することになった。
以降、通り抜けの車は減ったという。安全への思いが込められた凸凹。決して遊び半分で通らないようにお願いしたい。