兵庫県丹波市市島町の塩見和広さん(66)が、日本では珍しいという、まきを使用したボイラーストーブを自宅に設置し、身近にあふれる自然資源を効率よく活用する取り組みを始めた。暖炉でまきを燃やして沸かした温水が配管を伝い、室内に設置したサーモパネルから放熱する仕組み。業者の指導を受けつつ自身で配管工事を行い、2カ月をかけて完成させた。石油など枯渇エネルギーを使わないため、森林環境が豊かな丹波市には適していると考えている。「荒れている山は多く、丹波市では意味のあることだと考える」と話している。
所有する山で出た間伐材などを活用。設備に組み込まれた暖炉にくべて燃やし、接続するコイルが熱せられることで付属するタンク内の水が温まる。この温水がポンプによって配管を伝い、横幅2・5メートルほどのサーモパネル部に到達。ここから放熱し、室内が暖まる。15畳の室内は22度ほどで安定しており、室温が下がれば再びまきを燃やす。
イタリア製のボイラーストーブで、塩見さんによると、欧州ではフランスより北部で普及している。日本では同じ仕組みでも石油やガスを燃料とするのが一般的で、暖炉でまきを燃やして温水を沸かして循環させるのは、森林環境が豊かな信州の別荘地などで使用されている程度という。
環境問題に造詣が深い塩見さん。昨年、フランス人が営む京都府福知山市の農家民宿から、まきを活用したボイラーストーブを中古で買い受けた。詳しい設置説明書がないばかりか、配管は同農家民宿で手に入れられず、ボイラー部分以外は全て日本製の部品を流用した。
旧知の杉本設備(同市春日町)の杉本定男さん(68)に指導を受け、設置に取り掛かった。試行錯誤しながら配管工事も自身で行い、正月の火入れにこぎつけた。
塩見さんは「石油などの資源は海外に頼っているが、いずれなくなる。多く余っている間伐材という資源を上手に活用したい」と話している。