国産ワクチンを国民へ 瓶製造も一時24h体制で 「今こそ社会貢献の時」

2021.02.15
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製造したガラス瓶の目視検査をする検査員=2021年2月5日午後1時52分、兵庫県丹波市市島町で

医療用のガラス瓶などを製造する「大和特殊硝子」(本社・大阪市、桑原崇社長)の市島工場(兵庫県丹波市市島町)が、新型コロナウイルスの国産ワクチンを充填するガラス瓶を製造している。大手製薬会社から受注し、昨夏から増産体制をとり、今年1月中旬まで24時間体制で稼働。数千万本以上を製造し、順次、出荷している。世界が直面するコロナ禍にあって、品質の高い容器供給で社会貢献を果たしている。

「ホウ珪酸ガラス」という特殊なガラスで、耐熱性や耐薬品性に優れていることから、医療用などに使用される。専用の成形機に長さ1メートル以上のガラス管を投入し、バーナーで溶融軟化させつつ金型を押し当て形作る。目視検査や成分調査などを経て出荷している。

桑原社長によると、同社が製造するコロナワクチン用のガラス瓶のサイズは2種類。1人分の接種ができる容量と、複数人への接種に対応できる容量のものがある。

同社は、年間1億本を超える製造能力を備える。桑原社長によると、過去の新型インフルエンザ用ワクチンのガラス瓶を製造するために導入した成形機もあり、安定した生産体制が確保できることから、製造の打診があったという。桑原社長は「今こそ社会貢献を果たすべき時として受注した。会社の存在意義が問われていた」と話す。

製造現場は、もともと2交代制だったが、昨夏から24時間体制に変更。一定の生産量が確保できたことから、24時間体制はいったん終了。現在は通常勤務に戻し、製造を続けている。目視検査は同工場だけではなく、本社に併設する工場でも対応している。

桑原社長は「どれだけ良いワクチンができても、充填するガラス瓶がなければ国民には届かない。通常製品の製造もある中で、期待に応えてくれている従業員には感謝しかない」と話している。

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