「立ち机」の効果提案 高校生の研究に評価 「集中できた」「意見交換しやすい」

2021.02.27
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全国高校グローカル探究オンライン発表会の英語発表部門で銀賞に輝いた増田さんと日本語発表部門銅賞の木村君ら=兵庫県丹波市柏原町で

文部科学省指定のグローカル型地域協働推進校の生徒が、日頃取り組んでいる「グローバルな視点をもって地域課題の解決に挑む提言や実践」を日本語や英語で披露する「Glocal High School Meetings(全国高校グローカル探究オンライン発表会)」がこのほど、オンラインで行われ、兵庫県丹波市にある柏原高校「知の探究コース」3年の増田莉子さんが英語発表部門で銀賞、同コース2年の木村陸生君が日本語発表部門で銅賞に輝いた。

事前に収録した10分間の動画を、動画共有サイト「ユーチューブ」に1週間配信し、参加校の生徒と審査員による投票で順位付けした。

欧米では主流 「アクティブラーニング」にどうか

増田さんは「Class Innovation Using Standing Desk」と題し、立ったまま使用する机「スタンディングデスク」の使用効果について研究してきた成果を発表した。

授業中、座っているよりも立っていた方が意見を活発に出し合えるのではと、1年生の時に仮説を立てた。欧米では主流になっていることから、2年生の時には米・シアトルでフィールドワークも行った。

高校で実際に5台を導入し、授業で複数回使用した後、被験者となった生徒や教師からアンケートを取った結果、生徒からは「立って授業を受けた方が集中できた」「視野が広くなる分、意見交換がしやすかった」などの意見があり、教師からも「効率よく話し合いができ、会議時間が短くなった」などの声が聞かれた。

この結果を踏まえ、校内にスタンディングデスクを備えた部屋を設け、アクティブラーニング(能動的に学びに向かうよう設計された学習法)に使用してはどうかという提案も加えた発表を行い、金賞(5人)に次ぐ銀賞(12人)を受賞した。

増田さんは「受験勉強と併行しながらの取り組みは大変だったが、オンラインだからこそコロナ禍の中でも、長く続けてきた研究成果を多くの方々に聞いてもらうことができた。評価され、うれしかった」と喜んでいる。

感染症差別どう解消 結核の歴史もひも解く

木村君は「感染症に対する人々の認識の変化について―結核から新型コロナウイルスを考える」と題して発表。コロナのパンデミックにより、医療従事者がいわれのない差別を受けている現状に、「差別を解消するにはどうすればよいか」と考え、テーマに設定した。

以前、地元にあった結核療養所に入院経験のある高齢者に聞き取りを行い、結核の歴史をひも解いた。有効な治療薬ストレプトマイシンが作られるまでは激しい差別があったが、治療薬ができてからはリハビリで散歩したり、面会も可能になったりと差別が和らいだことを知った。

現代のコロナ禍の差別も特効薬ができるまでは続くのではないかと分析する一方で、「インターネット上の誤った情報が、異常なまでの恐怖心と差別心を生みだしている。科学的な裏付けの下、情報の真偽を見極めることが大切だ」などと締めくくった。

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