高校生が酒瓶包装紙をデザイン 新聞・インスタ調に 酒米作りにも取り組む

2021.03.02
地域

高校生がデザインした包装紙に包まれた日本酒の商品=2021年2月24日午後1時51分、兵庫県丹波篠山市呉服町で

今年度、酒米作りに取り組んだ兵庫県立篠山東雲高校3年の3人が、地元の鳳鳴酒造の清酒「田舎酒 純米 東雲の穂」の酒瓶用包装紙のデザイン制作にも挑戦した。完成した包装紙に包まれた同商品が同酒蔵直売所(同市呉服町)などで販売されている。2018年度から続けている、酒米栽培を通して6次産業を学ぶ「日本酒プロジェクト」の一環で、収穫した酒米を同酒蔵へ出荷した。

包装紙をデザインしたのは、萩ノ崎空斗君、田村日向子さん、小田島愛優さん。新型コロナウイルスの影響による飲食店の営業自粛、時短営業などで日本酒の売り上げが低迷する実情を聞き、地場産業の応援につながればと、昨年9月ごろからパソコンに向かった。

表、裏とも写真を多く取り入れ、同プロジェクトの取り組みを振り返る内容。表面は「しののめ新聞」の題字を置き、新聞風にまとめた。裏面は、インスタグラム(写真・動画共有アプリ)の画面をイメージ。同校で飼育している犬やヤギ、牛、ウサギが投稿している設定にした。

「アグリプロダクト類型」の3人は後輩たちと、今年度から従来の酒米「五百万石」に加え、新たな品種「Hyogo Sake 85」の栽培に挑戦した。兵庫県立農林水産技術総合センター(加西市)が開発し、2017年に品種登録したもので、高校生が同品種を栽培するのは県内で唯一という。

昨年の田植えの時期は、新型コロナの影響で休校となったため、教諭らがフォローし、五百万石を約70アール、新品種を約10アールに植えた。学校再開後は、生徒たちで稲の生育調査を続けたほか、同センターから研究員を招いて学習し、稲刈りは自分たちでコンバインを動かして行った。五百万石は約2・1トン、新品種は360キロの収量があり、JAを通じて同酒蔵に出荷した。

萩ノ崎君は、田んぼとは別の場所で、酒米など4つの品種を少しずつ植え、生育の違いを観察していたが、「逃げ出したヤギに食べられてしまい、残念」と笑顔で振り返り、田村さんは、「新品種の栽培を中心に取り組んだが、丹波篠山でもよく育ちそうだと手応えがあった」と力を込めた。

包装紙のデザインについて、小田島さんは、「インスタグラム調にした裏面の言葉遣いに悩んだ。お酒を買われるのは大人。私たちが普段使っているような言葉だと分かりにくくなってしまうので、ある程度、説明も必要だと考えた。いい包装紙ができた」と笑顔だった。

同校は、同プロジェクトをPRする幕看板も2枚製作。同校と同酒造に掲げた。

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