長年にわたり、刑事警察業務に貢献したとして、兵庫県丹波警察署はこのほど、河原歯科(同県丹波市山南町)の医師、河原悟さん(66)と、ふなさか医院(同市春日町)の医師、船坂眞里さん(63)に署長感謝状を贈った。大谷誠司署長が2人に手渡した。河原さんは警察歯科医として身元不明者の確認に尽力。船坂さんも死因の特定などの検案業務に献身的に尽くしている。
河原さんの父、道夫さんは1985年、群馬県に墜落した日本航空123便に搭乗。河原さんは身元の確認のために現地へ駆け付けた。警察官らの献身的な態度に感激し、自身もそのまま現地で、歯の本数や形状、大きさ、治療痕などから身元を特定する業務に協力した。
これをきっかけに兵庫県警察歯科医会の立ち上げに尽力。阪神淡路大震災やJR福知山線脱線事故の際にも駆け付けた。取り乱す人に自身が事故遺族であることを語り、落ち着かせたことも。「事故に遭われた方に1時間でも早く、体の一部分でもいいから会いたいという家族の気持ちが分かる。それに応えたいという気持ちで業務に当たった」と話す。感謝状を受け、「陰の仕事を認めてもらい、うれしい」と話した。
船坂さんは、1995年に丹波篠山市の東雲診療所に着任した際から、警察からの依頼に応じて医学的見地から死因を特定するなどの検案業務に貢献。2003年に開業後も丹波市内で同業務を続けている。
「亡くなられた方の家族からすれば、どういう状況で、または何が原因で死に至ることになったのかが知りたいはず。できる限り詳しく診てきた」と話す。一晩で2回、呼び出しがあったこともあったという。
市内では20人が検案業務にあたっており、船坂さんは、「みなさんを代表していただいた感謝状。今後も協力していきたい。検査技術も進歩しており、お役に立てるのではないか」と話していた。