兵庫県丹波市市島町の山中で、クリンソウが濃いピンクや白い花を咲かせ、見頃を迎えている。近くに住む井上夏子さんが、所有する山の湿地を生かして2年前から増やしているもので、突如現れる群生地のような雰囲気になりつつある。5月いっぱいは楽しめるという。
クリンソウは、絶滅危惧種をリストアップした同県版レッドデータブックのBランクに記載されるサクラソウ科の多年草。山地の湿地に生え、5―6月に約2・5センチのピンク色の花を数層に輪生して咲かせる。
井上さんは知人から苗をもらい、もともとは家のプランターで育てていた。湿地を好むと聞き、「条件のよい場所で、うまく咲いてくれたら」と、ちょうど山水がしみ出している場所に移植した。
昨年は咲いた花から種を取って同じ場所にまき、イノシシに食べられないようにと、冬の間に縦20メートル、横5メートルほどにわたってネットで囲んだ。
「まいた種から育つものや、自然に増える分もあるだろうから、今年は楽しみにしていた」と井上さん。「きれいに咲いてうれしい。また来年に向けて増やしていきたい」と笑顔で話していた。