兵庫県丹波市市島町の井上仁司さん(65)がこのほど、近くのグラウンドで、ミニSL(蒸気機関車)を走らせた。本物の12分の1サイズ(全長1・8メートル、重さ80キロ)で、構造もほぼ同じという本格的な模型。大人が複数乗っても楽に走る。ただ、「石炭に火をつけ、安定して燃やし続けるのが難しい」と言い、練習のつもりで動かそうと思っていたところ、近所の人や子どもたちが30人ほど集まってきた。乗せてもらった年配者らは「懐かしい」、子どもたちは「楽しい」と笑顔が広がった。
子どものころからSLに興味があったという井上さん。2年ほど前に趣味にしようと、ミニSLについて調べ始め、昨年2月から部品を取り寄せ、一から組み立てた。休日ごとに少しずつ作業し、半年ほどをかけて完成。人が乗る“客席”は自身で工夫しながら手作りした。車両の型式は「C21」ながら、自身の名前をかけた「C1104」のプレートを手作りして取り付けており、遊び心も加えている。
グラウンドに1周90メートルほどのレールを敷設。もくもくと蒸気を上げながら快調に走り始めると、大人も子どもも大喜び。石炭を入れる焚口戸や圧力計などがある“機関室”部分もじっと観察し、何度も乗車していた児童(8)は、「乗り心地はよかった。楽しかった」と満足そう。元国鉄マンの井上英道さん(80)は、「とにかく懐かしい。コロナで出掛けられない中、よい慰めになった。レールの継ぎ目でトントンと音がするのも本物のようだった」と笑顔だった。
井上さんは、「みんなに喜んでもらえたのでよかった。子どもよりも大人の方が楽しそうだった」と笑顔。「始めたばかりで、まだうまく走らせられないが、イベントなどでも走らせてみたい。でも本当は、機関車をいじったりしているときが一番楽しいですね」と話していた。