兵庫県丹波篠山市の長源寺境内に、参拝者や檀家らを和ませている、ちょっと気になる像がある。微笑をたたえたように見える小柄な老人の像だが、神様なのか、それとも庭の置き物なのか―。
像の高さは約30センチ。前栽の苔の上にちょこんと立っておられる。袖の長い衣をまとい、長髪は後ろで一部を団子状に束ねている。
同寺に住む前住職の妻、歳村節子さん(79)によると、元は庫裏の裏庭にあったといい、2006年に本堂を新築したときに前住職が本堂前に移したという。「裏庭にあったときは『おじいちゃん』と呼んで頭をなでながら草引きをしていた」と歳村さん。「でも何の像かは知らない」と言う。
現住職の溝口泰守さん(46)は「本堂からも庫裏からも見える位置にあり、先代が何かしらの思いで置かれたのかも」としながらも、「七福神の一人かなと思っていたが、詳しくは分からない。像の表情は人の心を映すもの。それぞれの思いで見てもらえれば。いずれにせよ興味を持ってくれる人がいてうれしい」とほほ笑んでいた。
同寺の大師堂は、江戸時代に篠山藩主によって建立されたと伝わり、多紀郡四国八十八ケ所霊場の1つ。