廃校に「シロアリ研究所」 広がる「蟻道」の観察も チューガイが資料提供

2021.05.22
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イエシロアリの蟻道を指さすチューガイの宮田社長(右端)の説明を聞く芦田専務(左端)ら=2021年4月30日午前10時57分、兵庫県丹波市青垣町文室で

換気の悪い軒下などから侵入し、住宅に被害をもたらすシロアリが新しい巣を求め、羽根アリとなって飛び立つ季節を迎えた。製材業「木栄」(兵庫県丹波市青垣町)の事務所や製品展示場が入居する「FOREST DOORしぐら」(旧神楽小学校)に、研究機関以外では珍しい、生体のシロアリや被害木を展示する部屋がある。管理された飼育ケースの中で、むしゃむしゃと木や古本などをかじっている。

シロアリ被害に遭い、芯だけが残った梁

旧理科室が「シロアリ研究所」。シロアリ防除・駆除の専門業者「チューガイ」(兵庫県神戸市)が、生体、ホルマリン漬けの標本、被害木、写真などの資料を提供した。在野のシロアリ研究家で、シロアリの写真集など専門書をあらわした同社創業者の故・宮田光男さんが所有していたコレクションの一部を展示している。

丹波地域を含む国内に広く生息し、住宅に被害を及ぼすイエシロアリと、国内では兵庫県川西市内の滝のそばの林にのみ生息する大型のネバダオオシロアリの生体を展示。生体は逃げ出さないよう、ふた付きの飼育ケースで厳重に管理している。

宮田祐治社長(51)によると、「シロアリは木質系を栄養素とする。それ以外の物も邪魔であれば、食べるのではなくかじり、道を作る。断熱材、石膏ボード、コンクリートすらかじる」と言う。飼育ケースを横から見ると、かじったかすや排泄物で作ったシロアリの道「蟻道」が広がる様を観察できる。

体長5センチほどある女王シロアリの標本

体長5センチほどある、真っ白な「女王シロアリ」のホルマリン漬けもある。被害に遭い、芯だけが残ってボロボロになった柱や梁も展示。壁一面に写真パネルが並ぶほか、シロアリクイズも用意した。

自然下ではどんどん増えるが、飼育は難しく、冬は飼育ケースを電気カーペットで温めるなどして越冬させた。

木栄の芦田猛専務(49)は、「百聞は一見にしかず。木材関係のお客さんに説明するのに、非常に役立っている」と感謝する。

宮田社長は「大学の研究室や薬剤メーカー以外で、生体のシロアリを研究する施設はほぼないぐらい珍しいと思う。木栄さんの役に立てて、創業者も喜んでいると思う」と話していた。

同建物内の事務所に声かけすれば、無料で観察できる。問い合わせは同施設(0795・87・5511)。

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