親鳥の愛に心打たれ 田んぼにケリの「丘」 看板立て見守る

2021.05.28
地域自然

山田さんの田んぼの中につくられたケリの巣。「ケリーの丘」と書いた手作りの小さな“看板“を立てて見守っている=2021年5月18日午前9時53分、兵庫県丹波篠山市西本荘で

兵庫県丹波篠山市の山田勝さん(78)が所有する田んぼに、野鳥のケリが営巣した。約30アールの水田の中に小島のような巣がぽつんと作られ、親鳥が4つの卵を温めていたが、孵化した3匹は天敵にさらわれたとみられる。巣に近づくと親鳥の2匹が猛々しく威嚇し、残る1つの卵を必死に守っている。そんな親鳥の姿に心打たれた山田さんは「ケリーの丘」と書いた手作りの小さな“看板“をそばに立て、巣をどかすことなく温かく見守っている。

4月中旬にトラクターで耕耘中、巣を見つけた。その後も抱卵は続いた。「どかすのもかわいそうやし、残しとかな仕方ない。ひなが孵化するまで見守ろう」と移動させることなく、田植え作業を終えた。

5月10日早朝、3羽のひなが孵化しているのを確認したが、昼過ぎにはひなの姿がなかった。山田さんは「丹波篠山の景色が良すぎて狙われてしもたんかなあ」と話す。

“看板“は長さ約30センチの竹棒を足にしたクリアファイルの中に、「ケリーの丘」という文字をプリントした紙を挟んでいる。3匹の供養にと、バラの花も添えた。山田さんは「秋まではこのまま置いておく」とほほ笑む。

ケリは、東北、関東、中部、近畿などに分布している。水田の畔や荒れ地に巣を作る。

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