社会全体が落ち着かず、日々テレビのニュースや紙面から誰もが不安になるような言葉や活字が躍ります。介護の現場でも新型コロナウイルスの集団感染への警戒を続けながら必死で、家族介護の支援をされています。
認知症の人も、社会の不安や恐怖等の雰囲気を敏感に感じ取り、落ち着かない人が増えています。全国組織の公益社団法人「認知症の人と家族の会」から、新型コロナウイルス感染の危機を乗り越えるための知恵と工夫が、介護家族向けに出されているのでご紹介します。内容は原文に少し説明を付け加えています。
◆電話などで定期的な連絡を取り合いましょう。誰とも出会わず言葉を交わさない時間が増えると一人でいろいろな不安をいっそう増加させてしまいます。
◆手洗いを忘れないよう目につくところに張り紙をしましょう。脅かすような言い方で手洗いを強要するのはやめましょう。
◆今まで行なってきた日課を続けましょう。
◆ニュースは1日1―2回に制限し、不要なニュースやメディアからの情報に触れないようにしましょう。
◆睡眠時間は、今までどおりにして、生活のリズムを崩さないようにしましょう。
◆認知症の人が、いつもと違う状況のせいで混乱したり、動揺した時に家族や介護者自身が動揺しないようにしましょう。
いつもと違う不安感から来る行動を起こす人もあるので、見守りと家族自身の心の安定が大切です。家族もストレスの解消の機会が減っています。電話やメールなどで力になってくれる人と繋がったり、介護者家族同士の支えあいの機会を持つよう工夫をしてください。
ご本人の変化に不安があれば、ケアマネジャーや支援者に相談してください。家族の会や認知症カフェも感染予防対策をとりながら、家族が悩みを話せる機会の再開を目指しています。
寺本秀代(てらもと・ひでよ) 精神保健福祉士、兵庫県丹波篠山市もの忘れ相談センター嘱託職員。丹波認知症疾患医療センターに約20年間勤務。同センターでは2000人以上から相談を受けてきた。