兵庫県丹波篠山市の移住相談窓口「丹波篠山暮らし案内所」が今年3月から月に1度開いている「丹波篠山オンライン移住セミナー」が成果を上げている。数はまだ少ないものの、セミナーをきっかけに、移住に向けた、より具体的な話をする個人面談につながったり、実際に移住に結びついたりしている。同案内所は、「案内所のスタッフが最初の“知り合い”になることで、『ちょっと出会いに行ってみようか』と、丹波篠山を訪れるきっかけになっているようだ」と話している。第4弾の同セミナーを13日午後1時半から行う。
同セミナーは、個人面談へと一歩進むきっかけになればと企画。新型コロナウイルスの感染防止のため、ウェブ会議アプリ「Zoom」を使う。
3―5月で計23人が参加し、それをきっかけに4月に2件、5月に3件の面談が実現した。面談はオンラインでも対応している。3月のセミナーに参加した人が、4月に面談し、その月のうちに移住に至ったケースが1件あった。昨年からオンライン面談は行っていたが、年2、3件程度だったという。
同案内所は、セミナー、面談に成果が出ている要因に、オンラインの利点を上げる。20―50歳代まで幅広くZoomが使われるようになったことも背景にある。
同案内所の移住定住アドバイザー、仙林寛実さんは、「電話、メールと違い、相手の目や表情を見ながら話せるので、反応から相手がどんな情報を望んでいるのかが分かり、その情報をピンポイントで提供できる」と利点を述べ、「利用者自身もプライベート空間からリラックスした状態で参加されており、突っ込んだ話もしやすいのではないか」と推測する。
移住を希望する動機は、田舎暮らしへのあこがれ、テレワークに対応したライフスタイルへの転換、地震災害への危機感、起業などさまざま。コロナが直接の理由にはなっていないという。ただ問い合わせは昨年から増加傾向にあり、昨年は9月の84件(電話、メール含む)をピークに計735件。今年も1月の53件から徐々に増え、4月は80件あった。コロナ前と比べると、月によっては3―5倍という。
13日のセミナーは、今年3月に同市へ家族と移住した男性をゲストに迎え、田舎での子育てのポイントをテーマに話を弾ませる。