兵庫県丹波篠山市内で「あんばい整体院」を営む中西淳さん(42)が、体に痛みや不調があるのに経済的な理由で施術を受けられない問題を解決しようと、施術料を現金ではなく、物品などで支払ってもらう「わらしべ整体」に挑戦している。日本昔ばなし「わらしべ長者」から着想を得ており、現金の代わりに、米や野菜、缶詰、インターネットの口コミサイトへの投稿など、患者が持っているそれぞれの価値を対価に施術が受けられる。4月から始めた挑戦で、ひとまず1000人を目標に続けるという。
通常の施術料は、約1時間で6000円(税込み)。中西さんは、「整体は人助けの仕事のはずなのに、利益の追求に走ってしまうと、お金のない人は施術を受けたくても受けられなくなる」と葛藤していたという。
昨年1月に体調不良に見舞われ、仕事をセーブせざるを得ない日々が続いた。どうにか回復した今春、気持ちも新たに再スタートを切った。そこで完全に体力が戻るまではリハビリを兼ね、「お金以外の価値を対価と考えることで、施術を受けてほしい人を助けられる」という、以前から考えていた「自分も気持ち良くなれる仕事のやり方」を実行しようと思い立った。
大学時代、太極拳のサークルで交流のあった整体師の生き方に感銘を受けた。卒業後、整骨院に10年間勤め、2011年に帰郷し、整体院を開院。日本独自の整体術「操体法」を軸に、対話カウンセリングによって、それぞれの患者が持つ不調の原因となっている生活習慣にアプローチ。人の自然治癒力を生かし、体に無理のない施術を行っているという。
中西さんは「この取り組みが広まり、施術を受けてほしい人に届けば」と話している。