兵庫県丹波市青垣町の認定農家・足立篤夫さん(72)が、農業を営む上で最も重労働と言える草刈り作業の省力化を進めていくヒントになればと、ハイブリッドラジコン草刈機を使った傾斜地での実演会を開いた。地域の農業委員、自治会役員をはじめ、丹波市役所やJA丹波ひかみの職員ら約40人が見学に訪れ、関心の高さをうかがわせた。
ハイブリッドラジコン草刈機を取り扱う東海近畿クボタ青垣営業所の協力を得て、加古川に沿って延びる堤防の農地側ののり面で実施した。
アテックス社製(本社・愛媛県)。全長約1・5メートル、幅約1・1メートル、高さ約80センチ、重量360キロ。ガソリンエンジンとモーターのハイブリッド仕様で、草刈り中は刈刃などをエンジンで駆動させ、走行はモーターを使う。
ラジコン操作は最大175メートル離れた場所から行える。連続運転時間は3―4時間。足回りはゴム製のクローラー(キャタピラ)で、最大45度の傾斜地で使用でき、1時間あたり約13アールの作業能力を持つ。価格は約370万円。
メーカーの担当者は、「手元のプロポ(コントローラー)で遠隔操作できるので、夏の暑い時期はエアコンの効いた車の中から草刈りができる」などとラジコン操作のメリットを伝え、実際に傾斜角37度ののり面でデモンストレーションを行った。プロポのボタンを押すと軽快にエンジンが始動。レバーを倒すと急傾斜地をものともせず、細かく草を切り刻みながらぐんぐんと進んだ。
操作を体験した女性(54)は、「意外と簡単に操作ができた。なにより、草刈りするのが面白く感じた」とほほ笑んだ。
足立さんは、「認定農家として地域の田んぼを預かっても、草刈り面積で経営規模が左右されると言っても過言でない。今はどうにか農業を維持できても、高齢化が進む現状では近い将来難しい。農業の省力化は避けられない問題。みんなで知恵を出し合いたい」と話していた。