孫のビワ、ついに結実―。兵庫県丹波市氷上町の今村敦子さん(76)は、孫から苗を託されたビワが17年の歳月を経て初めて実をつけ、喜んでいる。「生きているうちになるとは思っていなかった。責任を果たせほっとした」と笑顔を弾けさせた。
20年前、当時小学校1年生だった孫の星樹さんが学校給食のデザートに出たビワの種を持ち帰り、宝塚市内の自宅のポットに植えたところ、芽が出た。20センチほどに育った小学3年の時に、「丹波のおばあちゃん家の畑で育てて」と苗を託された。木は成木となり、5年ほど前からは花をつけるようになったが、実はならなかった。
今月中旬、畑仕事中に、ふと木を見ると、枝の先が黄色くなっているのに気付き、「まさか」と近づくと、色づき始めた鈴なりの果実だった。「不意をつかれ、感動で涙が出そうになった」と今村さん。
現在は就職して東京で働く星樹さんに、生の果実と、手作りビワジャムを送る。
「帰省するたびに、畑の隅で順調に成長するビワを眺めながら、いつになったら実がつくんだろうと楽しみにしていた。成人し、立派な社会人になった孫の成長を見るよう。文字通り、実を結びました」とほほ笑んだ。