23日午前4時30分ごろ、ご来光を拝もうと兵庫県丹波市の国指定史跡・黒井城跡(標高356メートル)を目指し、登山道を歩いていた市内の男性(66)が、振り向きざまにツキノワグマに左足を噛まれて負傷した。男性は自力で下山。自宅から119番通報し、病院で治療を受けた。丹波警察署によると、左ひざの上を深さ2、3センチ、長さ12、3センチほどのけがを負ったという。
負傷場所は、登山道の西コース。同署によると、男性は週に1、2回のペースで早朝に同城跡に登っていた。山の中腹で、後ろから物音がするので振り返ると体長1メートルほどのクマがおり、いきなり噛みつかれたという。逃れようと足を動かし、傷が広がった。クマは山の中に逃走したという。
同城跡は、麓の駐車場から30分ほどで登れる低山で、市民や観光客に人気のハイキングスポット。日課で早朝に登る市民もあり、今朝の事件発生時刻にも先に数人が登っていたが、クマには出くわさなかったという。
日課でハイキングをしており、負傷して下山してきた男性と出会った市内の男性(72)は、「同じルートで登り、負傷場所を確認したが、痕跡は見つからなかった。仲間内でこれまで1度もクマの話など出たことがなく、驚いている。数日は用心のために登山を見合わせる」と話していた。
負傷事案発生を受け、市は防災行政無線で当該地域に、同市教育委員会は登山道に近い黒井小学校と春日中学校に連絡するなどし、注意喚起している。
黒井城は明智光秀の丹波攻めで激戦を展開した赤井(荻野)直正の居城。